道化師

 

 

月と太陽が同居する世界を
こんなにも待ち望んでいる私の前に
道化師は現れない

 

世界を半周する
彼を捜して
もう半周する

 

草をはむ羊のように無駄な動作を繰り返す

 

ある日私は水をのぞき
そこに探していたものを見る
そうか 私が道化になれば良い

 

おちくぼんだ目も
真っ赤に腫れた唇も
私を道化せしめるに充分なもの

 

赤と白のフローリングの上で私は
太陽と月を呼び寄せる
道化の仕事を何年も何年も

繰 り 返 し 続 け る

 

 


背景画像:「AQUA」会報表紙より